一、はじめに

新型コロナウイルス感染症の長期間にわたる流行や経 済構造の転換・調整の影響を受けて、中国の経済にも停 滞感が見え始め、経済成長のスピードが鈍化しています。 日本企業や日系企業(以下「日系企業等」といいます。) が中国で取引を行う中で、取引相手による支払遅延、不 良債権の増加等の発生リスクに注意すべき局面も出てき ています。

取引相手に一時的な資金繰りの問題が発生しただけで あれば、債権者はまだ債権の回収を期待できます。しか し、もし取引相手の経営状況が引き続き悪化し、破産や 清算のリスクが存在するといった状況に直面した場合、 債権者は、債権をできる限り回収するにはどうすればよ いかを考える必要があり、更には、もし取引相手が破産 手続に入ったときには同手続の中で、自らの利益を最大 限守るための方法を、事前に考える必要があります。

今月のニュースレターでは、破産・清算のリスクがあ る取引相手を目の前にして、債権者が債権回収の可能性 をどのように高めるかという問題について、企業破産法 の規定にも触れつつ、検討を行います。

二、破産・清算リスクがある債務者による債務弁済行為 が取り消される可能性

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